賠償責任保険は種類ごとにどう違うんですか?(施設、請負、PL、受託)

賠償責任保険は種類ごとにどう違うんですか?(施設、請負、PL、受託)

賠償責任保険のキホン

賠償責任保険とは、被保険者が対人・対物事故を起こしてしまい、法律上の賠償責任を負担することによって被る損害に対して、保険金を支払う、というものです。

ただ、これだけだと幅が広すぎるので、保険商品としては、「〇〇賠償責任保険」というようにリスクに応じた賠償責任保険を選んで契約します。

例えば製造した製品の欠陥によって誰かが結果的にケガしたとか他人の財物が損害を被ったというリスクに備える場合には生産物賠償責任保険(PL保険)に加入しておく、ということになります。

また、何か事故が起きて賠償責任保険をつかう場合には自社が加害者であることを真摯に認める必要があります。間違いやすいポイントですが、自社に非がないと主張する限り、法律上の賠償義務は「?」となってしまい、保険会社も対応できません。何か事故を起こしてしまい、いくらかでも過失がありそうだと思う場合は、少なくとも保険会社に対しては認識している過失について素直に説明しましょう。

なお、賠償責任保険は多くの場合、「対人・対物事故」を補償する内容になっています。たとえば誰もケガしてない、何も壊れてないとなると、保険として対応しづらいこともあるので、賠償責任保険は基本的には対人・対物事故を補償する、と認識するとよいと思います。(中には対人・対物事故がなくても機能する賠償責任保険もある)

「対人事故」の場合は、主にその治療費・慰謝料・休業損害の実費を保険金として支払うことになります。ちなみに専業主婦だとしても休業損害は自賠責保険の基準で通院1日4200円、入院1日8400円というふうに請求することが可能ですし、事態が重い場合などはさらに上乗せして請求したとしても保険会社は認定してくれることもあります。

「対物事故」の場合は、壊してしまった物の「時価額」を限度としてその修理代が保険金として支払われます。時価額というのは、同等グレードの物を再取得する金額を経年減価させた金額といえます。

車に例えると分かりやすく、時価額というのは中古車相当の金額といえます。
たとえば、20年落ちの車に追突してしまい、中古車市場価格としては5万円だとしたら、賠償額としては5万円が限度、ということになります(代車費用は別として)。
※実際は保険会社の査定によります。

対人事故にしても、対物事故にしてもその金額の妥当性については保険会社があまりにも相場より高いと判断する場合には、相場内の金額までしか認定されないでしょうし、物であれば他に合理的な復旧方法があるなら、合理的な復旧方法を基準とした金額が認定される、というのが基本的な考え方です。

それでは、代表的な賠償責任保険商品を4つ見ていきましょう。

施設賠償責任保険

施設賠償責任保険は2つの側面による事故に対応します。

1.対象施設を所有、使用もしくは管理することによって、生じた対人・対物事故
2.業務遂行によって生じた対人・対物事故

施設所有者であれば所有者リスクとして施設賠が機能します。一方、その施設を借りて事業を行っている事業者は使用または管理のリスクを負っているので、施設賠に加入する意味があります。

勘違いしやすいところですが、「同じ建物に所有者と賃借人がそれぞれ施設賠を契約していたら重複では?」と疑問を持たれる方もいます。しかしこれは重複にはなりません。

たとえば、所有者が行うべき施設の安全性維持や法定点検を怠ったことで起きた対人・対物事故については所有者が施設賠に加入していないと機能しませんし、一方、賃借人が施設内に施した造作に起因する事故や階下への漏水事故などについては賃借人が加入する施設賠が機能することになります。

したがって、同じ建物を対象としてそれぞれの立場から施設賠償責任保険がかけられている、というのはごく自然なことになります。

請負業者賠償責任保険

請負業者賠償責任保険は、対象とする請負作業中に起こしてしまった対人・対物事故を補償します。

作業というと、分かりやすいのが工事業者で、作業中に高所から工具や資材を落下させて通行人をケガさせた、という場合に請負業者賠償責任保険が機能します。

または、客先の施設内での作業中に誤って関係ない設備等を壊してしまったという場合も保険の対象になります。

生産物賠償責任保険(PL保険)

生産物賠償責任保険(PL保険)は以下の2つの側面の事故に対応します。

1.生産物に起因して生じた対人・対物事故
2.仕事(作業)の結果に起因して生じた対人・対物事故

機械メーカーであればその製造した機械の欠陥によってたとえば爆発などを起こし、対人・対物事故が起きた場合、生産物賠償責任保険(PL保険)が機能します。

飲食店ならつくった料理を食べた人が食中毒になった場合などが考えられます。

また、仕事(作業)の結果に起因して生じた対人・対物事故とありますが、請負業者賠償責任保険と違うのは、引渡後の事故を対象にするということです。
・請負業者賠償責任保険・・・作業中の事故をカバー
・生産物賠償責任保険(PL保険)・・・引渡後の事故をカバー

作業中は何事もなかったとしても引渡後にその作業ミス原因とした対人・対物事故が起こった場合には生産物賠償責任保険(PL保険)の範疇となります。

したがって、工事などを行う事業者は、請負業者賠償責任保険と生産物賠償責任保険(PL保険)の両方に加入しておく必要があるといえます。

また、飲食店での料理を考えると面白いのですが、料理を運んでいる最中に誤ってこぼしてしまい、客の洋服を汚したりヤケドを負わせた場合は「施設賠償責任保険」の範疇になりますし、その料理を食して食中毒になった場合は”引渡後“ですので「生産物賠償責任保険(PL保険)」の範疇になります。

受託者賠償責任保険

受託者賠償責任保険は、被保険者が何か物を預かって、その預かったものに損害を与えてしまった場合、その物の時価額まで賠償する、という保険です。
したがって、上3つの保険と違うところは、対人事故は関係ない、ということです。

業種でいえば、倉庫、ホテルなど、他人から有償・無償問わず何かを預かる業務を行う場合、受託者賠償責任保険がフィットします。

まとめ

賠償責任保険は自社が加害者になってしまった場合に機能する保険であり、法律上の考え方が関係してきますので、少し難しい分野ですが少なくとも以下のポイントを理解していれば、いざというときにいくらか落ち着いて対処できるものと思います。
・事故が起きたら速やかに保険代理店・保険会社へ相談すること。
・対人は主に治療費、慰謝料、休業損害。
・対物は時価額が限度。かつ合理的な復旧方法による費用を補償。
・事故の種類(リスク)に応じた保険が何かを把握しておくこと。

(注)当サイトでは保険について一般的と思われる内容を記載しております。個別具体的な保険契約内容についてはパンフレットや重要事項説明書、約款をご確認いただくか、保険代理店または保険会社へお問い合わせください。

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